白銀の女神 紅の王
あまりにも、あの光景と似すぎていた。
思い起こされる過去の記憶―――
そう、あれは両親が殺された日。
俺を庇って、目の前で切り殺された母。
流れ出る血が、地面に広がり。
糸の切れた操り人形のように倒れる肢体。
数分前まで温かかった体はとても冷たくて。
一定のリズムで刻んでいた心音は、消え入る様に弱々しくなる。
固く閉じた瞳は、再び開く事はなかった。
今のエレナの様子は、母の死に直面した時に良く似ていて……
ドクンッ――――
エレナが……死ぬ………?
頭を過った考えに、心臓が大きく跳ねた。
ギュッと心臓を鷲掴みされるような圧迫感で、上手く呼吸が出来ない。
「エレナ……」
掠れた声で、無意識に名を呼ぶ。
しかし、エレナはピクリとも反応しない。
「エレナ……目を開けろ!」
焦燥感で、胸が押しつぶされそうな感覚が襲った。