白銀の女神 紅の王
いや……気付くなど今更だ。
心を掻き乱されている時点で、気付いていたはずだ。
だが、それでも自分の想いを認めなかったのは、国王としての立場があったから。
父と母の死をきっかけとして、大切な者を傍に置く怖さを知った。
国王であった父の妃として、当然の様に殺された母。
父もそれを分かっていたからこそ母を逃がしたのだろうが、願いも虚しく、母の命は一瞬のうちに散った。
国王である今なら分かる。
唯一の者を傍に置く怖さが……
エレナを正室ではなく、妾にしたのは、奥底にソレがあったからでもある。
唯一の存在をつくらず、距離を置く。
それで、大切な者を守れると思っていた。
だが、結果はどうだ?
妾として距離を置いたつもりが、自分から近付き。
エレナを守るどころか、巻き込んでいる。
エレナが俺を庇う事は予想外だったが…
矢に倒れたエレナは、あの時の母の様で……