白銀の女神 紅の王
「昨日よりも顔色が悪いです!あれ程、夜は寝てくださいと言ったのに。」
「…………。」
ウィルの小言に、無言の抵抗を示す。
そう……
エレナを王宮に連れ帰った日から今日まで。
俺はろくに睡眠を取っていない日々を送っていた。
後宮のベッドはエレナ一人寝かせているため、俺は別室を用意させたが、一度も帰っていない。
今にもエレナが目を覚ますのではないかと思うと、後宮から離れられなくなるのだ。
日中ならばニーナがいるが、夜も、と言うわけにはいかない。
だからと言って、他の者をエレナの看病につける気にもなれず…
結局は、俺が毎夜後宮に足を運んでは、後宮で仕事の続きをしている。
それが、目ざといウィルには筒抜けだったようで、顔を合わせればこうしてお馴染の台詞を吐く。
「だからそんなに目つきが悪いんです。家臣たちに泣きよられるのは僕なんですからね!」
しかも、ネチネチとした小言付きだ。
「分かっている。それで、用は何だ?」
「それ、絶対に分かっていませんよね?」
ムッ…と、ちっとも怖くない視線をよこすウィル。
ウィルの問いに応える気もない姿勢を見せれば…
「はぁ……分かりました。僕の負けです。」
ウィルは、深いため息をついた後、お手上げだとばかりに肩を落とす。