白銀の女神 紅の王
しかし――――
答えはいつも一緒。
しんと静まり返る後宮。
ダイヤモンドの様な輝きを持つ瞳は、今日も固く閉じられ、長い睫毛が影を落としている。
エレナ…お前はいつ目を覚ますんだ?
締め付けられる胸の内で、呼びかけた。
ふと、エレナの寝顔を見ながら、フォレストの事が頭に浮かぶ。
爵位剥奪―――
国外追放―――
フォレストの所業を考えれば甘い処分だ。
以前の俺なら、デュークの判断に同意していた。
しかし……
フォレストを殺したところで何も変化はない。
父と母が帰って来るわけでもないし、エレナが目覚めるわけでもない。
人は、大切な者を失うと、悲しみ、深い闇を抱える。
そして、それは時に、憎悪へと変化する…
俺がいい例だ。
現に、エレナを殺そうとしたフォレストを、同じ目にあわせてやりたいと思った。