白銀の女神 紅の王
フッ…と、ゆっくり目を開く―――
同時に、目の端から熱い涙が零れる。
結局、戻って来てしまった……
視線の先には、見慣れた天窓。
今は夜なのか、天窓から射す月の光が、涙で濡れた瞳に、やんわりと温かい光を落とす。
とても長く闇の中にいたせいか、月明かりでも眩しい。
きっと、随分眠っていたのだろう、体が鉛の様に重い。
「っ………」
何とか、腕の力だけで上半身を起こす。
ふと、自分の腕を見れば、少し細くなっているようにも見える。
矢が刺さった背中の痛みも今はないことから、やはり、だいぶ時間が経っている事が分かった。
あれから、どれくらい経ったのか……
シルバは無事なのだろうか……
そんな漠然とした不安がわく。
そして、湧き上がる不安から、部屋を見渡した時だった。
「ッ………!」
月光のカーテンのその向こう―――
暗闇の中にいたその人に、大きく息を飲んだ。
ベッドサイドの椅子で、腕を組んだまま俯くその人。
闇夜に溶けてしまいそうな漆黒の髪。
今は固く閉じられている瞳は、燃えるような激情を湛えた紅。
「シルバ……」
小さく呟いた声が震えた。