白銀の女神 紅の王
一言呟いただけで、グッ…と言葉に詰まる。
そして――――
一瞬にして目の奥が熱くなり、ツーっと流れ落ちる涙。
無事……だった………
「ひっく……ふっ……」
口元に手を当てながら、涙を零す。
シルバを起こしてしまう…と思っても、声を抑える事が出来なかった。
頭では、シルバなら大丈夫だと思っていたけど。
心の底では、不安が拭いきれなかったのも本当で…
ザッと見渡してみる限り、目立った外傷はない。
「良かった……」
目の前で、規則正しく肩を上下するシルバを見て、心の底から安堵した。
あの状況を切りぬける事が出来たのね。
零れる涙を拭いながら、シルバを見つめる。
そして、やっと今のこの状況に疑問を抱き始めた。
なぜシルバがここにいるのだろう……
ふと、目に入ったのは、机に高く積み上げられた書類。
ここで仕事をしていたの……?
いつもは執務室にこもって、仕事は一切後宮に持ち込まないのに。