白銀の女神 紅の王



限界まで見開かれる紅の瞳。

こんなシルバを見るのは初めてだった。

驚嘆の中にも、切なさの入り混じった表情をしたシルバを見るのは…



視線が自分に向き、動けないでいると…

シルバは、僅かに口元を震わせ…――




「エレ…ナ……」


ビクッ―――――

自分を呼ぶ掠れた声に、思わず体が跳ねる。

聴き方によっては、切ない声とも取れるその呼び声に、何も言葉を発する事が出来なかった。


シルバもその言葉を発したきり、何も言わない。

私達の間にあるのは、月光のカーテンのみ。

けれど、それが、まるで見えない壁の様に遮られているようで…



“体は大丈夫?”


“どこも怪我をしていない?”



聴きたい事はたくさんあるのに…

喉の奥が詰まった様に、言葉が出てこない。

もどかしさと切なさで眉を寄せば…



パシッ―――――

突然、腕を取られる。

鋭く光る紅の瞳で、こちらを見るシルバ。

そして…



グイッ―――――

思いっきり、腕を引かれた。




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