白銀の女神 紅の王



きっと、ニーナはシルバがいないと思って、ノックなしに入って来たのだろう。

しかも、この8日間、ずっと私は眠っていたと言う。

応える主がいない後宮に向かって、返答を求めるノックをしても意味がない為、ニーナの行動も無理ない。




「この状況では仕方のない事だ。」

シルバもそれを分かっているのだろう。

本来ならば由々しき事だが、ニーナを責める言葉は出てこなかった。



「ッ…申し訳ございませんでした。以後、気をつけます。」

小さく息を飲んだニーナは、再度深々と頭を下げる。




「頭を上げろ。」

許しを出さなければ、ピクリとも動きそうにないニーナに、シルバが短くそう言う。

すると、やっと頭を上げるニーナ。

ほっとした表情で、今度は真っ直ぐとシルバに視線を向ける。




そして―――


「けれど、何故今日はこんな時間に…後宮……に……」


続くはずだった言葉は、途中で途切れた。

今や、シルバに合わされていた視線は、完全にそれいていた。




シルバの下で、ベッドへ体を沈ませる私へと―――



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