白銀の女神 紅の王
今しかチャンスはないわ…
「お願いします……」
シルバが口を噤んだのを見計らって、口を開く。
「これで、最後にしますから……」
最後の望みをかけて、シルバを見据えれば…
「ッ……勝手にしろ……」
不機嫌も露わに眉を寄せ、ギリッと唇をかんだ後、そう言った。
突き放されるような言葉と、逸らされる視線に、心臓がズキッと嫌な音を立てる。
嫌われた……?
お金で買われた身で、主に逆らうような真似をする我儘な女だと…
自分が望んだ事なのに、既に後悔が襲う。
この時の私には、既にジェスの身代わりとしての縛りなど、もうないことは頭になかった。
ただひたすらに、シルバに嫌われる事だけを恐れていたのだった。
「シル……」
背を向けて離れて行くシルバに声をかけようとした時だった。
バンッ――――――
「エレナ様!」
「エレナさん!」
シルバに向けた筈の声は、掻き消えた。
勢い良く後宮の扉を開け、なだれ込むように入って来たニーナ達。
あっという間にベッドを囲まれた中に、デュークの姿もあり…
「目が覚めたか、エレナ。」
珍しく柔らかな笑みを浮かべたデューク。