白銀の女神 紅の王



「お身体は大丈夫ですか?」

「傷は痛みませんか?」

矢継ぎ早に、質問攻めをするニーナとウィル。

その向こう側、開けっぱなしの扉の向こうには、王城でシルバに使える家臣や侍女たちが控え、中の様子を伺っている。

その表情は、本当に心配の色が垣間見えて…



「はい……」

涙が込み上げてきそうなほど温かな気持ちに、声が詰まる。

同じ王城にいながら、あまり接する機会のない人までが押し寄せ…

自分の事を心配してくれる存在がいる事が嬉しくて。



「ご心配おかけしました。」

泣き笑いの様な笑みを浮かべ、笑った。



すると―――――



「「「「「エレナ様!」」」」」



一斉に後宮になだれ込む人々。

本来ならば、シルバ以外の者が後宮に入るのは許されないのだが…

シルバは、何も言わないことから、この状況を許しているのだろう。

そればかりか、一人、後宮を出て行こうとする。

家臣や侍女たちまで来てくれて、本当に嬉しいのに…

入れ替わる様にして出て行くシルバに、キュッと胸が締め付けられる。



しかし、シルバを引き止める理由も勇気もなく、後宮に流れ込んだ人々で見えなくなった―――



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