白銀の女神 紅の王



その日の午後――――


あれから、後宮に押し寄せた人々が各々の仕事に戻り。

ニーナに手伝って貰いながらお風呂に入った。

そして、お風呂から上がった後、濡れていた髪をニーナに乾かしてもらい、今に至る。

今は、静けさを取り戻した後宮で、食事を取っているのだが…



「エレナ様、食欲がないのですか?」

「え?あっ……そ、そうなの。」

ニーナの声に我に返り、自分の手元を見て、慌てて答える。

目の前には久しぶりの食事が並べられていると言うのに、食欲はわかない。



それはきっと、デュークやウィル、ニーナから聞いた話が原因だろう。

私がどうやって王城へ戻って来たか。

そして、8日間眠っていた間の事。

それを聞いたら、胸がいっぱいになって、食欲もなくなったのだ。





特にデュークの話は強烈で…




わ、私…本当にシルバとキスしたの!?



正確には解毒薬を口移しで飲ませてもらっただけなのだが…

デュークがニヤニヤと笑いながら話してくれた話に、顔が真っ赤になる。




「エレナ様、もしかしてまだ体の調子が悪いんじゃ…」


唇に指先を当て、真っ赤になって固まる私に、ニーナの心配は更に煽られたようだ。

只でさえ、皆が過保護だとおもったばかりの事。

もう、これ以上心配をかけてはいけないと思い、否定しようとした時…




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