白銀の女神 紅の王
「ありがとう…ございます……」
トクンットクン…と、耳にまで届きそうなほど高鳴る心音が五月蠅い。
シルバがかけてくれたショールをキュッと握れば、これが現実なのだと実感する。
嬉しい……
シルバが私の体を心配してくれた事が。
昨日は、自分の責任だと思って心配してくれていたのだろうけど…
今は、何の条件もなく心配してくれている。
それが、こんなにも嬉しい。
キューッと締め付けられる胸に比例するように、ショールを握る。
冷たいショールが、体温の上がった体に心地良かった。
「行くぞ。」
「は、はい!」
何事もなかったかのように歩き出すシルバの後を、慌てて追いかける。
そして、微笑むニーナを残して、後宮を出た。
長い長い廊下―――
前を歩くシルバは、後宮を出てから一度も振り返らない。
けれど、後ろを歩く私の方は気にしてくれている様子で…
私の歩幅を考えて歩いてくれている。
シルバの長い足で、スタスタと歩いてしまわれては、駆け足で追わなくてはならないから。