白銀の女神 紅の王



「こちらです。」

すかさずウィルが動き、地下牢への扉を開ける。

地下牢はクネクネとカーブをえがいていて、まるで迷路の様。

きっと、脱獄者が出た時の為の対処だろう。



頑丈に施錠された鉄格子の向こうには、反逆者として捕らえられた者たちが多くいた。

ある者は、憔悴しきったような表情で。

ある者は、暗闇からシルバを睨みつける様にして視線を寄こす。

その居た堪れない視線を浴びながら暫く歩いたところで…





「ここです。」


そう言って、同じように並ぶ地下牢の鉄格子の前で止まったウィル。

シルバは、ウィルが立ち止まった牢屋の前まで歩くと――




「地下牢の住み心地はどうだ?」


皮肉交じりの言葉と共に、牢屋の中に向かって話すシルバ。



すると――――


「3食昼寝付きで快適ですよ、シルバ様。」


ドクンッ―――

死角になって見えない牢屋の中から聞こえてきた声に、反応して強く鼓動を打つ。




「ならば、一生入っておくか?」

「それもいいかもな。」


デュークの問いにヘラッと返事をする牢屋の中の者。

久しぶりに聞くが、間違いない。



これは、ジェスの声だった。



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