白銀の女神 紅の王
そろりと、移動し、シルバの影からそっと覗けば…
「ジェス……」
やはり、そこには見知った人がいた。
「エレナッ!?」
ジェスは、私の姿を捉えたなり、酷く驚く。
そして、すぐにスッと厳しい顔つきになり…
「何しに来たんだ?」
低い声で唸る様に問いかけられる。
シルバは後ろに下がり壁に背を預け、ウィルとデュークは横で静かに見守っていた。
「何しにって……」
暗くて寒いこの地下牢で、低く唸る様にして聞こえた声は身震いさえする程で。
今までに聞いた事ないくらいに怒りを含んだジェスの言葉に、恐々と口を開く。
「貴方に会いに……」
勇気を出してそう言ってみれば、ジェスはグッと眉をしかめ…
「俺に会いに?ハッ笑わせるな。お前は俺に裏切られたんだぞ?」
「ッ…けど、私は……」
「なんだ?まだ俺の事を仲間か何かと思っているのか?とんだあまちゃんだな。さすが元貴族様だぜ。」
笑っているのだけれど、所々に怒りが滲む言葉は、私が話す間すらないほど矢継ぎ早に浴びせられる。
その全てが、私を遠ざけようとする言葉ばかりだった。