白銀の女神 紅の王
けれど……
「貴族だった頃の私は、周囲の人に遠ざけられて、両親にまで気味悪がられて、心からの笑顔なんてなかったわ。」
思えば、10歳の頃までの私は、両親の顔色ばかり伺い。
目立つ容姿から、外出は控えた。
誰にも助けを請わず、ただじっと耐えることですごし。
いつしか私からは笑顔が消えていた……
「けれど、ジェス…貴方は私の心の支えだった。貴方が私に笑顔をくれたの。」
例え、裏があったのだとしても、能力を恐れず接してくれたのはジェスだけだったから。
ジェスにどう思われようと、私は救われたの。
元貴族で、当時何も知らない10歳のあまちゃんだったからなんて関係ない。
私は、私の意思でジェスに心を許したのだから。
「貴方から嫌われていたとしても私は……」
「やめてくれッ!」
ジェスの声が、木霊となって地下牢中に響いた。
ビクッ―――――
突如、大きく響いた声に、体が跳ねる。
「ジェス……?」
「何でそんなに、俺の事を信じられるんだ!お前の事は騙していたんだと言っただろッ!」
しっかりと私の目を見据えて投げかけられる言葉。
けれど、その言葉一つ一つを吐きだすのが苦しいかのように、ジェスの眉は寄せられていた。