白銀の女神 紅の王
「たった一人の家族じゃない。その人の為にしたことなら、私には貴方を責められないわ。」
私だって家族が人質に取られたなら、そうしたもの。
そう思って微笑めば、ジェスは目を丸くした後、フッと表情が緩む。
「本当に…とんだあまちゃんだ。」
呆れた様な溜息をつくジェス。
触れている手から、力が抜けて行くのが分かった。
ジェスはそっと手を離し、今度は、ジェスが私の手を包んだ。
「人を疑う事も知らないとんだあまちゃんだが……俺はお前のそう言うところに救われていた。」
以前の様に満面の笑みは向けてくれないけれど、ジェスは眉を寄せ、僅かに口元をほころばせた。
そして―――――
「すまなかった。ずっと、裏切って来た事、騙していた事を謝る。」
しっかりと私の目を見据え、謝罪の言葉を言うジェス。
「フォレストの命で、人の心が読めるお前の世話をさせられると聞いた時は、何故俺が…と思った。お前の事を気味の悪い人間だと思っていたからな。」
ジェスがそう思うのも無理ないわ。
だって、人の心が読める人間なんて異形の者でしかないもの。
その能力を恐れるのは当然のこと。