白銀の女神 紅の王
「あれ程行きたがっていた国だ、嬉しいはずだろう?だが…手ぶらで入国する様な輩に優しい国かどうかまでは保障しないがな。」
フッと獰猛な笑みを浮かべ、眼下を見下ろすシルバ。
シルバの言い方から、ギルティスは排他的な国だろう事が分かる。
そんな国に連れ去られようとしていた事に、今更ながら怖くなった。
「アイツらには良い薬になるだろ。地位も何もない、自分たちが見下してきた者の気持ちを知る良い機会だ。」
そう言って、シルバは窓際を離れる。
「ジェスとイザベラさんも、ギルティス王国へ送還するつもりだったんですか?」
ピタリと立ち止まるシルバ。
またやってしまった…と思った時は既に遅く。
振り返ったシルバは、視線こそ合せてくれるが、顔を顰めている。
「お前は口を開けば奴の事ばかりだな。そんなにあの男が気になるのか?」
イザベラの事も聞いたつもりが、シルバの耳を通すと綺麗にイザベラの事だけが抜けるらしい。
「あっ…いえ……そんなつもりじゃ…」
ズイッ…と詰められた距離に俯き、ビクッと震え、小さな声で訴える。
誤解…されたくない……
ギュッと目をつもり、シルバの言葉を待つ。
すると―――――
チッ…という悪態の後、離れていく気配。
恐る恐る目を開ければ、シルバは既に背中を向けてソファーの方へ向かっていた。