白銀の女神 紅の王



「能力がなければ、何の価値もないのに……」

「やめろエレナ。」

静かに制止するシルバの声。

その声がとても癇に障った。




「やめないッ!貴方は私じゃなくて、私の能力が必要なだけでしょう?」


普段では考えられないくらいに声を上げる。

シルバは一瞬驚いた様な表情をするが、すぐにスッと目を細めた。

少し冷たくなった紅の瞳に怯みそうになるけれど、一旦開いた口は止まらなかった。




「傍に置いておけば、いつかは能力を取り戻せるだろうって。また使えるようになる日がくるかもしれないと思っているんでしょう?」


一気にまくし立てるように吐き出し、息切れする。

苦しいのは乱れる呼吸のせいか、それとも…




「隠さなくてもいいんです……」


それは頭の端で考えていた事だった。

もしかして能力が戻るのを待って、王城に置いてくれるかもしれないって。




けれど――――


「ハッキリ言ってくれて構いません。」


力なくそう言った刹那、ツーっと涙が零れ落ちる。

溢れんばかりの涙は、堰を切ったように流れ出る。



それだけ、辛かったの……



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