白銀の女神 紅の王



「どうせお前の行く宛などないだろう?“エレナ・マルベル”」

「っ………!」

シルバの出した名前に衝撃を受ける。



“マルベル”


その名は一度も出さなかったのに、なぜ?



「なぜ知っているのか、と言う顔だな。国家の情報網を侮ってもらっては困る」

「すみません。賭博場に行く前に、貴方の事を調べさせていただいたんです」

ふっと、笑うシルバとは対照的に、ウィルがすまなそうな表情でそう言う。

そして、ウィルが自分を探し出した経緯を話し始める。



「ある貴族の家に人の心が読める少女がいたことを聞いて、まずその家を探しました」

黙ってウィルの話を聞く。


「その家がマルベル公爵家だと言うことは分かりましたが、すでにその少女はその家にいなかった。10年前に…売られたと言うんです」

眉を寄せ辛そうに話すウィル。




ズキッ――――


顔にサッと痛みが走るが、それは一瞬だった。


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