白銀の女神 紅の王



バンッ――――


荒々しく後宮の扉を開いたのは、2日ぶりに見る“国王”兼“夫”のシルバ。

相変わらず眉間にしわを寄せ、紅の瞳には不機嫌な色を滲ませていた。


しかしその紅の瞳が私を捉えた瞬間、その瞳が見開かれる。



「ほう…馬子にも衣装とはこのことか。そうしていれば、そこら辺の女よりはマシに見えるぞ」

目を見張ったのは一瞬の事で、シルバはすぐにいつもの様な笑みを浮かべそう言う。



「ベールを被ってはいけませんか?」

シルバの言葉など無視して話す。

よくよく自分も諦めが悪い…

答えなど分かっているのに。




「駄目だ。今日の宴はそのままで出てもらう。皆に怪しまれるからな」

やっぱり……と項垂れていると、シルバがそれから…と言葉を続ける。



「俺の事は名前で呼べ」

「努力します…」

この国の国王を名前で呼ぶことは抵抗があったが、きっとそれも夫婦を演じなければいけないから。




覚悟を決めて、宴に臨んだのだった―――


< 76 / 531 >

この作品をシェア

pagetop