白銀の女神 紅の王
バンッ――――
荒々しく後宮の扉を開いたのは、2日ぶりに見る“国王”兼“夫”のシルバ。
相変わらず眉間にしわを寄せ、紅の瞳には不機嫌な色を滲ませていた。
しかしその紅の瞳が私を捉えた瞬間、その瞳が見開かれる。
「ほう…馬子にも衣装とはこのことか。そうしていれば、そこら辺の女よりはマシに見えるぞ」
目を見張ったのは一瞬の事で、シルバはすぐにいつもの様な笑みを浮かべそう言う。
「ベールを被ってはいけませんか?」
シルバの言葉など無視して話す。
よくよく自分も諦めが悪い…
答えなど分かっているのに。
「駄目だ。今日の宴はそのままで出てもらう。皆に怪しまれるからな」
やっぱり……と項垂れていると、シルバがそれから…と言葉を続ける。
「俺の事は名前で呼べ」
「努力します…」
この国の国王を名前で呼ぶことは抵抗があったが、きっとそれも夫婦を演じなければいけないから。
覚悟を決めて、宴に臨んだのだった―――