白銀の女神 紅の王
「ッ………!」
その頬は思いのほか冷たかった。
クソッ……なぜ目を開けない……
ベッドにぐったりと体を沈めるエレナに何故か焦燥感が襲う。
自分の体温を分けるかのようにしてエレナの頬にすべらせる。
心の中は大いに焦っていた。
しかし、バタバタと後宮へ走ってくる複数の足音を聞いて手を引っ込める。
バンッ――――
ウィルも焦っているのか、いつになく荒々しい力で扉が開いた。
「シルバッ……医官を連れてきました」
後宮に入って来たのはウィルとニーナ、そして王族お抱えの医師。
「エレナ様のお加減はいかがですか?」
王城に使える医官の中でも一番古いその医師が問う。
「まだ目を覚まさない」
苛立ちを抑えながらそう言って、医師をエレナの眠るベッドへ招く。
そして、その医師を中心に皆が心配そうな表情でエレナを囲む。
ニーナなどはすでに涙を湛えて、今にも溢れ出そうだ。