誘拐犯は私の彼氏!?
探して、探して、海岸を走る。
だんだん見えなくなってきたばあやも気にかけず、ただがむしゃらに探す。
僕の一番の宝物だもん。
「邦人さま!
おりてきてください!
私が旦那様に怒られます!」
後ろからばあやの叫びが聞こえたとき、僕はもう足場の悪い海岸の岩の上にいた。
上を見ると、木の枝に帽子が引っ掛かってる。
僕の手がとどくかとどかないか、微妙な位置。
今にも風にあおられて、海に飛び込んでいきそう。
下には、帽子と一緒に僕も飲み込もうとしてる波がいる。