幸せタクシー
形だけ見れば、それがタクシーだって分かるけれど、近寄って見てみると何かが変。
暗くて、色はイマイチ分かりにくいけれど、紺色のボディに白いラインがかかっている。
あまり、近辺で見たことのないタクシーだ…。
変なタクシー…。
そもそも、これってタクシーなのかな?
でも[空席]と表示された機器が、前に乗ってるし…。
けどタクシーってこんなのだっけ?
少し不安になりながら欝すらと、運転席に座る人影を確認し、助手席の窓をコンコンと叩く。
ガチャッと後部座席の方のドアが自動で開いた。
多分、運転手さんが開けてくれたんだ…。
開けられたドアの方から中を覗き込み、運転席に座っている男の人に声をかけた。
「…あの、家まで送ってほしいんですけど、…乗っても良いですか?」
ザアザアと降りしきる雨音の中、車内から低く落ち着いた声が、私の耳に届く。
運転手:「どうぞ。」
その一言は、とても淡々としていて私は少し不安になった。
疲れてるのかな…?
迷惑だったかな…?
大丈夫だよね…?
何だか不思議すぎて…