この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
だから悟られないように、ムリヤリ笑顔を浮かべて何とか誤魔化すと。
ガラガラな店内の洋服を畳み直しては、仕事だと自身に言い聞かせて感情を押し込めていた…。
「望未ちゃん、そろそろ良いわよ」
「え、まだ夕方ですよ?」
他店と比べてしまうと、やっぱり閑古鳥が鳴く状況に変わりはなかったけど。
いつもよりはお客様の入りが良くて、辛くも役に立てただろうか。
「中嶋君から戻るようにって、さっき連絡があったの」
「うわ…、すみません」
この散々な気分のシメに、性悪チーフの嫌味な顔と対面とは残念な日だ。
「ふふ、イヤだって顔に出てる」
「私だけ、昔から嫌われてて…」
クールな度合いを越していると思う、インテリチックな尭くん。
このあと本社へ帰っても、お説教か嫌味チクチク攻撃しか待っていないだろう…。