昼下がりの当番表
如月瑞貴、現る
やばい、レベル高いっしょ。

担任教師を探して迷子になった。
校舎の片隅の踊り場で途方に暮れていたところ、扉の音がしたため階段を下ってきて辿りついた場所。
それが、ここ、図書室だった。
扉を動かした主であろう足音は遠ざかる。しかし、なんとなくその人を追いかける前に室内をガラス越しに見た少年は思わず固まっていた。
図書室のカウンターの中に、おそらく上級生であろう女子生徒の姿を見つけたからだ。

やば、俺ラッキー。
入学して2日目で好みの人発見とか。

にやける口元を押さえながら思考を巡らせる。

カウンターの中ってことは、図書委員だよな。
1年の委員会決めは明日以降みたいだったし、上級生か。

担任がいないっていうのも、アリなもんだな。不幸が転じて幸になっちゃったってやつか。
ひとり肯いてから、扉に手をかける。
しかし、そこでふと、動きが止まった。

…いや、待てよ。いきなり入っていいのか?どうする、俺。

どうするも何も、図書室は出入り自由だが。
普段から利用してきたならまだしも、自分とはあまり縁がない場所の敷居は高いものだ。

少年は一瞬考えた後、心を決めたのか小さく肯いてから。
ガラリ!
勢いよく扉を開けはなった。
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