⁂ダイヤモンド⁂
秋山さん……
今まで、何千人、何万人と接客してきたけどこうしてお客さんのことで考えることなんてなかった。
自分の指名客が突然姿を消そうとも、あたしには関係のないことで
会計をしこの店から一歩外に踏み出してしまえばお金をいうもので設定されてる“客”と“女の子”の関係は終わりなのだ。
だけど、違う気がした
秋山さんは違う……
あたしの太客で相当な額をつぎ込んでくれたからとか、恋愛感情とか、そう気持ちではなくきっと、探さなきゃいけない人な気がする。
気がつくと、地面がたくさんの雨粒たちで濡れていた。
「雨……?」
そう呟きながらも、あたしの上にはなぜか、雨が……
「店長……」
雨に濡れないでいたのは、店長があたしの頭の上を傘で覆ってくれていた為……
「風邪ひくぞ」
そのけして優しくもない言い方に、店長を見上げれば、ただ、空を眺めながら雨に打たれていた……
「店長がね」
それでも、ただ雨に打たれながら小さく声を漏らした。
「なぁ、未来……空が泣いているよ……」
空が泣いている……
きっと、この世界中の人の涙を背負っているとでもいるかのように、だんだん強くなる雨足になんだかちょっぴり切なく心が痛んだ。