恋ノ神
咲夜の家を出ると、空に浮かび上がって鼻を啜る。
「最近はすぐに離婚する夫婦がいるけど・・・幸せそうで良かった。」
あの2人の赤い糸が永久に続くように願ってから、人間の姿のまま道を歩いて帰る。
すると、横からギャルの声が聞こえる。
「なにあれ、今時ハードロック?」
「ダサい〜」
誰の事だと聞こうと思うが、どうやらそれは私の事らしい。彼女らの目が完璧に私を見ているからだ。
神のファッションを馬鹿にするな、と思い、念動力であたかもスカートが風でなびいたかのように見せかける。
「きゃーー!」
「何で風が?パンツ見えそう〜」
ざまあみろ、と思いながら私は走り去る。
神社の門を潜り抜け、お堂の中に入ると、神の気配がする。
夜の光に照らされ、相手の金髪が光る。
「・・・来てるなら言ってくれよ、阿修羅。」
阿修羅の名を呼ぶと、彼は紙袋を私に差し出した。
「土産。インドのものが色々入ってるから。」
「ああ、サンキュー」
受け取った袋を壁の近くに置いておくと、私は阿修羅の隣に座る。
最近の仕事話に花を咲かせていると、ある噂が頭を過ぎる。
「そういえばさ、お前、この前エロス(外国の愛の神)の告白断ったらしいじゃねぇか。」
「ああ、まあな。」
「あの子綺麗なのに勿体無いな。お前がモテてるの知ってるけど、釣り合う奴なんてそうそういないぜ。」
「俺だってちゃんと神を選んでるんだよ。」
「恋の神様の注意は聞いておいたほうがいいぞ?」
私がそう言っているのを無視し、阿修羅は無造作に頭を搔く。
「相手に好きな奴を決められるなんざぁ、俺はまっぴらゴメンだ。」
「あ、一応お前にもいるんだな。」
「いるっつうの。」
「マジ?・・・ってことは、そいつは相当な美人なんだろうなー。誰誰?」
興味深々になって阿修羅に聞くと、彼は何も言わない。
しかし、そんな阿修羅の口からぼそりとある言葉が耳に入る。
「自分で言いやがって。」