恋ノ神
「でもよ、プロフ見てみたけど、この咲夜ってのは主犯じゃねぇんだろ。」
「確かにな。イジメがあったのは確かだが。」
「ふぅん・・・」
顎に手を当てて考え込むと、阿修羅はぱちんと指を鳴らした。
「ならさ、クロノスの所にでも行ってみろよ。」
「え゛?何をいきなりそんな事・・・」
「もしかしたらさ、晴って奴は何か間違った事吹き込まれてんじゃねぇかなって。」
まさか。
そう疑っている間にも、阿修羅は堂を出て行こうとする。
「じゃ、また来るからな。」
「早いぞお前。もっといたらいいじゃないか。」
「悪ぃけど、今の事言いに来ただけだからさ。」
「え?阿修羅は今仕事の話を聞いただけだろ?」
そう言ったが、阿修羅のにやついた顔を見て悟った。
「・・・ゼウスに言われて来ただろ。」
「お、よく分かったな。そうだよ」
「ゼウスの野郎、余計な遣い寄越しやがって。」
「そう言うなよ、聞こえてるかもよ。」
聞こえてるだろうな。
苦笑いしながら言った。ゼウスは神の中でも頂上に立っている神の1人だ。
イザナミやゼウスはほとんどものの全てを司っている。
私達の行動や未来も、たぶんすべて筒抜けだろう。
しかし、そんな事を気にしないのは、私としてはいつもの事である。
阿修羅が帰った後、私は1人で考え込む。
クロノスの所に行ってみるかどうかに迷っていた。
クロノスと言うのは、時間をつかさどる神。私のように人間界に住んでいるわけではなく、時の流れを操作する空間に住み、大時計を操っている。
行き方は簡単、ハディスの時と同様に特別なドアをくぐって行く事が出来るのだ。
「・・・まぁいい。行ってみるか。」