恋ノ神

そう言って時間を設定すると、再び画面に学校を映した。
教室らしき部屋には、宙人と咲夜がいる。
何を話しているのだろうと、私は画面を覗き込む。

「お前ってさー、綾織と仲がいいだろ。」
「悪ぃかよ。」
「別にー。・・・あのさ、悪い事するけどさー」
「?」
「綾織に今回のイジメの主犯はお前って言ったから。」
「!ふっ・・・ふざけんじゃねぇぞ」
「大丈夫だって、いざって時は俺らでフォローするからさ。」
「そういうっ・・・」

そこで咲夜が口をつぐむ。
何を言いたがっているのか耳を澄ますと、耳に声が響く。

(俺がアイツの事好きなの知っててやってんのかよ)

―そうだったのか?

私は耳を疑って、咲夜に質問するかのように思う。

「そういう?何?」

挑発するような口調で、宙人が咲夜に言う。

「・・・・」
「何にもねぇならそう言うことにしといてくれよ。」

任せるように言うと、宙人は笑いながらその場を去って行った。
その日の休み時間、咲夜は誤解を解きに晴の所に向かったのだが、そのとき、晴は躊躇ったような顔で何も言わず逃げて行ったらしい。
更に早送りしてみてみると、その後も晴は咲夜を避け続け、彼自身ももう自然に自分が加害者だという気持ちを持ち始めたということだった。

「なるほど、つまり、咲夜自身には非は無いわけか。」

クロノスがうなずきながらそう言う。


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