傷だらけのラブレター

掴むことのできない鳥





――それはあまりにも突然で、ほんの一瞬のことだった。





『……っ…!?』





グイっ、と。



しゃがみ込んでいたら、後ろからブレザーの肩の部分を引っ張られて。



香水とかではなく、だけど安心できる香りをすぐそばに感じた。




『……。』





…どうしよう。



後ろが、見れない。




本当に彼かどうか確かめたいんだけど、怖くて振り向くことができないの。





浅野目くんは、私の後ろにいるであろう彼を見て、目をまん丸に見開いていた。





< 152 / 459 >

この作品をシェア

pagetop