水晶玉は恋模様
それからは、続々とレッスンの参加者が集まってきた。
あわせて6人ほどだろうか。
皆楽しそうな笑顔を浮かべている。
そして絶え間なくオシャベリをしたりして、楽しんでいた。
まもなく香奈枝が紅茶を作ってやってきた。
そして一人ひとりにカップを手渡す。
私はどんな雰囲気なのだろうかと緊張していたけれど、
香奈枝もオシャベリに参加し始めて、一向にレッスンが始まる気配は無い。

「あのぉ……」

円を組んで座っている生徒達に、私は思わず声をかけた。

「何?」

そう答えてこっちを見たのが、少し神秘的な女の子
白鳥 藍那ちゃん。
私と同い年らしいけど、それよりずっと幼く見えた。

「レッスン、やらないんですか?」

私の問いかけに、皆が暖かい笑みをこぼす。
そして、急に改まって座りなおした。

「あのね、ここのレッスンは、別に先生が言った事をノートに写したりするわけじゃないの。
皆で集まって情報交換する。
これ以上の知識の蓄積は無いわ。」

千代子が短い髪の毛をいじりながら、そう言った。
私はそう言われて、ようやく、もうレッスンは始まっていたと知り、恥かしくなった。
けれど、誰にも馬鹿にされなかったので、私はそそくさと円の中に入っていった。
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