ご主人様はお医者様
「ハル……」
先生にそう呼ばれるのはすごく久しぶりのような気がする。
私は、俯いたまま「はい」と返事を返した。
「もう、逃がさない。
俺から二度も逃げるなんていい度胸だ」
抑揚の無い話し方が怖くて顔を上げることが出来ない。
きっと怒ってるんだろうな……。
「ハル、こっちを見ろ!!」
さっきより強い口調に、私はビクンと体を強張らせる。
私は、隣に座る先生の顔をそっと見上げた。
目が合うと、先生はフウッと息を吐いてからこう言った。
「……本当は、全てがはっきりしてから……そう思ってた」
先生はそっと私の手を取り指を絡めてくる。
「でも…、二度も逃がしたら、もう俺の元へは戻って来ない気がして……」