ご主人様はお医者様


「はい……、ああ。今から行くよ。ご家族も呼んでおいて」


「呼び出し?」


「ゴメン、この話はまた帰ってからにしようか。せっかくの手料理全部食べられなくて悪いな」



そういうと彬は上着を羽織り急いで家を出て行った。





私は彬を見送ってからテーブルの上の料理に視線を落した。



「また、食べてもらえなかったね」



そう1人呟いてため息を吐いた。
たしか、初めてここに来た時もこんなふうに彬を見送った。



多忙な医師――すれ違いの日々・・・



だからこそ一緒に住んで、少しでも彬と居る時間が欲しい…って思うのはただの我ままなのかな!?





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