逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
まだ子供の俺に、何が出来る?
母親を亡くして、ひとりぼっちになった咲下に、俺は何が出来るんだろう。
咲下のおばさんは、咲下をひとり置いて遠くの街へと帰ってしまった。
咲下が熱を出したとき、彼女の部屋で父親から送られてきた手紙を見つけたけど、一体そこには何て書いてあったのだろうか。
咲下は、手紙と一緒にお金が入ってたと俺に言っていた。
そのお金は、おそらく咲下の生活費だと思う。
あのとき、両親の離婚の理由を話す咲下がつらそうに見えて、俺はそれ以上詳しいことは聞かなかった。
“お母さんはね、あたし自身の一部なの”
そう言っていた咲下の言葉が忘れられない。
それほど大切な母親と一緒に暮らしてきたあの家で、いま咲下はひとりで暮らしている。
それがどれほどつらいか、寂しいか……。
部屋のあちこちに母親の姿を思い出すだろう。
だけど、もう二度と逢えないんだ。
咲下のことを想うと、苦しくてどうしようもなかった。
夜になると泣いてるんじゃないか。
眠れずに朝を待ってるんじゃないか。
そう心配でたまらないのに。
俺は何もできない。
まだ子供の自分が情けなくて。
早く大人になりたかった。
もし大人だったら、何かしてやれるんじゃないかって。
自分がもどかしくて、ずっと……つらかった。