逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「橘くんてば、絵ヘタ~!もぉ~笑わせないでよぉ~」
「ちょ、ヒドくね?こんな可愛いカメ、他にいないから!ほら、次。咲下だよ」
「ふふふっ。“メ”がつくもの……なんだろ?もぉ!このカメのせいで集中できないよぉ」
「そんなに!?」
「アハハッ……」
咲下の明るい笑い声。
咲下の楽しそうな笑顔を見て、
俺はホントにうれしかったんだ。
しりとりが俺の番になって、俺は黒板に絵を描いていた。
「ふふっ。橘くん、背中にチョークの粉ついてるよ?」
その声に振り向く。
「あ!咲下がつけたんだろ?」
チョークの粉がついた黒板消しを両手に持って、咲下はイタズラに笑う。
「へへっ、バレた?」
咲下は教室の中を逃げ回る。
「待てって」
俺は笑いながら咲下のあとを追いかけた。
「橘くん、ごめんてばぁ」
「やだねっ」
楽しそうに笑う咲下を見て、あまりにうれしくて。
俺は油断したのかもしれない。
ちゃんと考えてみれば、すぐに気づけたはずだった。
この日の咲下は、いつもと様子が違ったのに。