逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
朝のHRが終わった。
担任の先生から、進路希望の用紙を渡された。
提出期限はまだ先だけど、あたしは自分の席で用紙を見つめていた。
「どしたん?眉間にしわ寄せて怖い顔なっとるよ」
前の席の陽太くんが振り返って、人差し指であたしのおでこをツンと押した。
「陽太くんは進学?」
「そーや。ええ大学行って、ええ会社入って、ええ嫁さんもろうて、楽しい家庭を作ることや」
「なんていうか、ざっくりした楽しそうな将来設計だね」
「バカにしとるん?」
陽太くんはあたしの両頬をクイッとつねる。
「……褒めてるの」
「凜は?」
「あたしは……就職かな」
シャーペンをカチカチと2回押して、進路用紙に名前を書く。
「そーなんや。なんの仕事するん?」
「わかんないけど、なんでもいいや。仕事して、ひとりで暮らせるなら」
ひとりで生きていけるなら。
「凜は、シッカリしとるな」
あたしは首を横に振る。
「そんなことないよ」
逃げたかっただけ。
高校卒業まで、あと1年と少し。
それまでの我慢。
高校卒業したら、あたしはあの家から出ていく。
それで、その先は……ひとりで生きていく。
「ねぇ、陽太くん……」
「ん?」