逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「凜ちゃんの心の中に橘くんがおること、お兄ちゃんは知っとるん?」
「……うん」
「知っとっても、お兄ちゃんは……凜ちゃんを諦められんのね。お兄ちゃんも、こんなこと初めてやと思うよ」
「え……?」
「幼い頃からあの性格やけん。けっこうモテたんよ。いままで彼女も何人かおったけど、お兄ちゃんが自分から好きになったんは、凜ちゃんが初めてやないかな……」
なんであたしなんだろう。
クラスにだって、あたしより可愛い子なんていっぱいいるのに。
陽太はどうして、あたしなの……?
「お兄ちゃんのこと、好き?」
「うん、好きだよ。真っ直ぐで、明るくて優しくて、友達思いで……好きなとこ言えって言われたら、いくらでも言えると思う」
「よかった。お兄ちゃんのこと友達としてでええけん。これからも仲良くしてあげて欲しい。妹からのお願いです」
そう言って陽葵ちゃんは頭を下げる。
「そんなっ……あたしこそ、陽太がいてくれて本当に……」
陽葵ちゃんは顔を上げてニコッと微笑んだ。