逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



――――――……



“橘くん”



名前を呼ぶ咲下の声が、いまも耳に残る。



キミの優しい微笑みも。キミの泣き顔も。



キミの小さな手も。



何もかも忘れられない――。



他の人のモノになってしまったキミを。



キミを想う気持ちを。



どうやって心の中から



消せばいい……?



“橘くん”



キミの声を思い出すたびに



胸が締め付けられる。



振り返っても、そこにキミはいるはずもないのに。



どうしたら……。



咲下と出逢う前の俺に戻れる――?



「……くん、橘くんっ」



その声に俺はハッと目を覚ました。



俺を呼んでいたのは、隣の席の吉野更紗だった。
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