逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
俺の体を離したくぼっちは、不満げな顔で俺を見つめ、口を尖らせている。
「俺に何も言わずに行くなんて……そんな寂しいことすんなよなぁ」
「ごめん、ごめんっ」
俺は、くぼっちが手に持っていたうちわを取り上げて、自分の顔を扇いだ。
「ふー、あっつー」
くぼっちはジーッと俺の顔を見つめている。
「なに?そんなに俺に会いたかった?」
俺がふざけて聞くと、くぼっちは大きく息を吐き出した。
「夏休み入って、おまえと全然連絡つかないと思ったら……まさかホントに失恋傷心旅行してたとはね」
「……ちげぇーし」
くぼっちは満面の笑みで俺に聞いた。
「んで、どうだった?旅行は」