逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「だってさ、ほら。おまえ……親父さん、ひとりにしてもいいのか?」
くぼっちの言うとおり、俺も少し前まではそう思ってた。
親父とずっと、ふたりで暮らしてきた。
つらかった日々。
悲しみを重ねて、寂しさを抱えて。孤独の中で生きてきた。
憎しみ、涙は数えきれないほどに。
いままで本当にいろんなことがあったよ。
それでも親父には、俺しかいない。
この先も、親父をひとりにはできないと、ずっと思っていた。
でも……。
「親父さ、いま付き合ってる人いるんだよね。勤めてる会社の人だって言ってた」
「うっそ、マジ!?」
驚いた表情のくぼっちに、俺は微笑んで頷く。
「俺はまだ会ったことないけど、親父より10歳も年下の人だってさ」
「10歳年下?若いなぁ」
「親父の話では、相手の人も離婚してて、幼い子供がいるらしいよ」