逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「もし再婚するなら、俺がいないほうがいいに決まってる」
「なんで、そうなるんだよ?」
沖縄にいる間、そのことについても、ひとりになって考えたかった。
俺の母親とは、やり直す気がないことはずっと前からわかっていた。
再婚したいって話を親父から聞かされたとき、喜びの中にほんの少し寂しさに似た何かを感じた。
言葉ではうまく言い表せられない感情だった。
一時期は殺したいほど憎んだ親父なのに。
いまはもうあの頃の親父じゃないとはいえ、なんでこんな感情を抱くんだろう。
親父には俺しかいないと思うことで、俺は自分の居場所を確かめようとしていたのかな。
俺がいなくても、もう平気なんだなって。
そう思ったら、少し肩の力が抜けたのと同時に寂しさのようなものを感じたんだ。
「親父と相手の人と、その人の幼い子と3人で幸せに暮らしてくれればいいかなって……」
そう言うと、くぼっちは俺にぎゅっと抱きついた。
「だから暑苦しいって……聞いてんのかよ?くぼっち~離れろって~」
「おまえ、ホントにバカ……」
俺を抱きしめるくぼっちの、小さな声が耳元で聞こえた。
くぼっちには、俺の考えてることわかっちゃうんだな。
俺は微笑み、手をくぼっちの背中にまわして優しくポンポンと叩く。
「泣くなよ、くぼっち~」
「な、泣いてねぇしっ」
うそつけ。声、震えてるじゃん。
「ただ……おまえが可哀想でさ」