逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
親父にはまだ、卒業後のことは何も話していない。
俺が家を出て行くこと、もしかしたら反対されるかもしれない。
ただ、親父の再婚が原因だと思われたくない。卒業する頃にはもう俺も18歳だ。
親元を離れて暮らす人だって、たくさんいる。
ちゃんと話せば、きっとわかってくれるはずだ。
「わざわざそんな遠くに行かなくてもさぁ。この近くで家でも借りて、ひとり暮らしでもすればいいじゃんかぁ」
そう言ってくぼっちは、俺の体を離した。
「きれいな海と星空がある場所で暮らしていくのも悪くないなって思ってさ」
ゆっくりと時間が流れる場所。
美しい景色のある場所。
そんなところで働きながら暮らしていくのも、いいかなって思えた。
――すべては、星に導かれていたのか。
高3の夏、
もし俺があの場所に行かなかったら。
俺がその答えを出さなかったら。
もう二度と
キミの手を握りしめることは
できなかったかもしれない――。