逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
穏やかな波の音。
心地いい風が吹く中、俺は波打ち際をゆっくりと歩いた。
夜の海に映る月が、波で揺れている。
足のつま先に何かが当たった。
足元を見ると、大きな貝殻が落ちていた。
俺は、その場にしゃがみ込む。
「これって……」
貝殻のそばに落ちていたのは、俺と同じ星砂のキーホルダー。
それを拾い、ジッと見つめる。
これ……もしかして……
咲下のやつ……?
俺があげた星砂のキーホルダーと同じだ……。
いや……何考えてんだよ、俺。
またバカなことを。
辺りを見まわすけど、やっぱり誰もいない。
そう、ここにいるはずがない。
でも……。
目を閉じると聞こえる。
“――助けて”
咲下の声。
何か嫌な予感がする。