左手のエース
「早紀のこと。」




晶先輩のおどけた表情が急に真剣になる。




「普段あんな態度とる子じゃないからね、あたしも少し混乱しちゃって…」



晶先輩はそう言いながら長い前髪をかきあげる。





「早紀の様子を見ながら、あたしから早紀と話すつもり。

舞は試合に出すつもりだから、気持ちを乱されないでもらいたいの。


余計な心配はしなくていいからね?」





晶先輩はそう言って優しく笑った。




笑ってるけどどこか寂しそうで、胸が痛む。





「…先輩こそ…





なにもかも一人で背負ってちゃダメです。



あたし…先輩に認めてもらえたの、本当にすごく嬉しかったんです。


でも、あたしバレー部のことも大好きだから。先輩達に嫌な思いしてほしくないから…


だからレギュラー下ろされたって全然平気ですよ!?」






晶先輩の心配の種を
一つでも減らせるなら減らしたい――…

そんな思いで伝えた。


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