水嫌いマーメイド
ちょっとどころかマジでウザイよ可耶……。

『可……』
「佐々木が、誰に怒ってるの?」

水沢がすっと、目の前に現れた。どんなカッコいいヒーローのご登場の仕方だ!!

「あ、佐々木!集合かかってるから行くぞ」
『へ……?集合?』
「そう!ほら、早く!」
『え…えええ!?!?』

しっかりと水沢に握りしめられたあたしの右腕。
水沢と一緒に走り出したあたしの身体。

ドキドキしっぱなしで、風を切る音、周りの騒音が、かすれてしか聞こえて来なかった。視覚も、聴覚も、脳内も、支配しているのは水沢…ただ1人だけ。

こんなに幸せな時間を、永遠にループして、ダイヤにも、朝日にも、勝てない輝きを何かで閉じ込めて欲しい。

「遅い!佐々木!水沢にも迷惑かけやがって」
『す……すみません…』

現実に引き戻されるのは、やっぱり好きな人が良いと思うのは、あたしだけだろうか?

“ゴホン”と荒々しい音を響かせて、滝山が口を開いた。身が引き締まった。

「今から各校は、ウォーミングアップに入る。如月もだが…水沢」
「はい、先程、洸仙の生徒と思われる女子2名が“ドーピングをしている”と根拠の無い言いがかりを付けて来ました」

初めて知った先輩達は、ざわざわと騒ぎ始めた。
昔は洸仙が、首位に君臨していたらしく最近、優勝している如月高校が気にくわないんだろう、と滝山は理由と思われる事を挙げた。

「まぁ、洸仙の顧問と話し合ってみるから心配するな。……だが、気は抜くんじゃねーぞ」

低い、ヤクザ混じりの言葉で滝山は解散させた。

「……佐々木」
『……何?』
「佐々木も洸仙に何言われても、反応するなよ」
『分かった……』
「元は俺の責任だよな…。あんな言い方してさ」
『そんなこと…水沢が責める事じゃないよ!』

そうだ!悪いのは、あの女の子達だもん!あたし達も、水沢も悪くない。むん!と拳を握った。

「……そーかもな」
『……何で笑ってんの』
「……え?……いや笑ってませんけど?」
『笑ってるでしょ?!』

水沢の口元が緩んでいる。明らかに、今から笑おうとしてる……ッ!!

何で水沢って、あたしがやる行動にウケてるんだろ?……やっぱり、あたしって世間的におかしいのかな?いわゆる……イタイ子??
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