神様のシナリオ
 


佐鬼さんに案内された客室は、ソファーと机があるだけの、こぢんまりしたところだった。

「じゃあ、奥様を呼んでくるんでちょっと待っててくださいね」

佐鬼さんを見てたら、あんまり怖くなさそうに思えてくるんだけど……。

それをイッチーに言ったら、「見かけに騙されちゃ駄目」みたいなことを返されるに決まってる。


「……ニノミン、どうして美原の奥様は私たちに用があるのかしら」

え、そんなの、僕に言われても「分からない」。

「そうよね……。今日中に喰われるのかしら」

「そのときは君を置いて逃げるよ」

「よくそんな爽やかな顔で、ひどいこと言えるわね。普通、『何があっても君だけは守ってみせる!たとえ槍が心臓に刺さっても、君を守りきるまでは死なない』とか、気の利いたこと言えないの?」

シュールな光景だ。

槍が心臓を貫通しても死なない人って、ある意味イッチーを越えた神様な気がする。

「それに」と真剣味(僕は笑いをこらえた瞬間、鼻水が垂れた)を含んで話し始めるイッチー。

「それに、鬼はものすごく足が速いんだから」

「……でもさ、イッチー?どうしてそんなに鬼のことが気になるの?」


 
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