ネコ専務シリーズ
ネコ専務はノラネコ神宮から旅行の神・
ノラネコノミコトを降ろして、日本中を
山車で半年かけて練り歩く「ノラネコ
祭り」を企画した。

国の省庁や県や市町村、各企業・団体に
働きかけ、国の承認を得たり、
通過する多くの県や、しばらくとどまっ
て地元と協力してイベントをする市町村
と交渉したり打ち合わせたりして、ノラ
ネコ祭りはついに実現の運びとなった。

国にとっても、県や市にとっても、観光
収入が入ったり地域が活性化したりする
ので、全く悪い話ではない。

東京から4月に二手に分かれて南北に
歩き出した山車が、各地で地元の人と
ともにイベントをしながら、日本をそれ
ぞれ半周し、半年後の10月(神無月)、
東京で再び合流して、一週間の大イベン
トで締めくくるという、壮大なお祭りと
なった。

それは、ノラネコノミコトとその妻の
アメノネコヒメが、半年間は別々に日本
を放浪し、10月に高天原で再開して
から、残り半年間は一緒に暮らす、と
いう日本神話から、ネコ専務が適当に
でっちあげたのである。

4月1日のエイプリルフールに、1万人
ずつの行列を南北に送り出すと、ネコ
専務は感動のあまり飛び上がって喜んだ。
そして彼らの無事を祈って、

「ニャイヤッサハ、ニャイヤッサハ」

「ゴロニャーン、ゴロニャーン」

とそっとつぶやいたのだった。

              おしまい
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