ネコ専務シリーズ
いかにも無力な獲物のようにのそのそ
歩いているシロを見た犬は、当然また
バウバウと吠え立てて向かってくる。

しかし今度のシロは冷静である。シロは
公園中あちこちにある茂みを利用し、

ちょっと自分を追わせては、茂みに飛び
込んで隠れたり、また飛び出して現れ
たりを繰り返して犬を挑発したので、
犬はひとりでどんどんヒートアップして
いった。

そして程良しと見たシロは、また姿を現
し、今度は長く自分を追っかけ回させた。

犬はここぞとばかりに吠えまくり、シロ
を追い回したが、ここがシロの策略、
それは、いつもシロをかわいがっている
老人グループが談笑している目の前だっ
たのである!

老人グループは「コラッ」と怒って犬を
追い払い、犬はたちまちキャインキャ
インと鳴いて逃げていった。

そしてシロは老人たちから
「かわいそうになあ」
とエサをもらう。
シロは

「ふふ、ざまあないわね」

と思っているのかどうか知らないが、
ニャーと鳴いて今日も庶民のエサに
ありついたのであった。

             おしまい


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