ネコ専務シリーズ
猫の女王
ヨーロッパのドイツ語圏に、カッツェ
王国という小さな国があるのだが、その
若き女王ニャンコロリン2世とネコ専務
は知り合いである。

以前ネコ専務がカッツェをビジネスで
訪れたとき、パーティーで知り合った
2人は、すぐに気が合ったのだった。


その当時、カッツェの景気はきわめて
悪く、失業率は高まる一方であった。
そのときカッツェに大々的に進出して
きたネコ専務の会社は、カッツェにとっ
てまさに救いの手だったのだが、その
進出計画を指揮するネコ専務は、カッ
ツェのそんな弱みにつけこむことは一切
なく、ごく公正で紳士的であった。

ニャンコロリン女王はそんなネコ専務が
非常に気に入ったし、ネコ専務の方も、
その若さで一国を担っている女王に好感
をもったのである。

しかし女王は側近から、

「確かにネコ専務は素晴らしいネコです
 が、王家に東洋人の血を入れることは
 なりませんぞ」

と牽制されてしまった。

女王は、

「私はそんなつもりはないんだ
 けど・・」

と言いつつも、ネコ専務と話している
と気が安らぎ、心が洗われるのを感じ
るのだった。



そのうち、ネコ専務は自分の仕事が
終わり、後任にカッツェ地域総責任者の
地位を譲って、日本に帰ることになった。

女王はひどくがっかりしたが、せめて
最後にもう少し仲良くなりたいと思って、
こう提案した。

「ネコ専務、これまで我が国の発展を
 手伝って下さって、ありがとうござい
 ました。
 お礼に、あなたを宮中行事である景勝
 地・ネコミミ山へのハイキングに
 ご招待いたしますわ」

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