ネコ専務シリーズ
ネコ専務の会社のような、世界中の誰も
が知っているほどの大企業に見込まれる
のは、実に名誉なことなので、ラーメン
店「にゃん太郎」の主人・ネコオヤジは、
この話に一も二もなく飛びついて、

「もちろんです、やりましょう」

と言った。

その後、開店の準備に数ヶ月を要したが、
ネコ専務は、この美味しさを社員たち
みんなに教えてあげられるという期待に
ワクワクしながら、その間を待った。



そして店はついに開店した。店の看板
には

「ネコ専務が絶賛!にゃん太郎」

と書き入れられていたので、店は初日
から大盛況であった。

というのは、ネコ専務はグルメとして
どんなレベルであるかは未知数であっ
たものの、これまでの彼の実績
(アメリカを米の国にしようとしたり、
カッツェ王国への進出を大成功させ
たり)からして、何だか期待できそう
だと、みんな思ったからだった。

しかし半年後、店の評判としては
「まあまあだな」
というのが、社員たちの一致した見方
となっていた。
ネコ専務は

「こんなに美味しいのに、不思議だなあ」

と思ったが、これは何故かと言えば、
ネコオヤジは、ネコ専務に対してだけは、
気合を入れまくった、採算割れ覚悟の
特別バージョンのラーメンを食べさせて
いたからなのだ。

しかしそれを社員全員に出していては、
店は確実に潰れてしまうため、社員たち
には普通のラーメンを食べさせていたの
である。

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